2016年11月30日
こんにちは、管理栄養士です。
当院の食事への工夫とソフト食、今後取り組みたいと思っている事をお伝えさせて頂きます。
認知症の方の栄養管理で一番大事なことは「食べてもらうこと」です
健康な方でも加齢とともに食事量が減ってしまいます。
認知症の方、特に摂食に関わる機能が衰えてしまった方は、更に食べる事が難しくなってしまいます。
食べやすいようにと細かく刻んでも、嚥下が悪ければ誤嚥のリスクもありますし、嚥下の為にとろみあんをかけてしまうと味が薄まり不味くなってしまいますし、見た目も悪くなってしまいます。
当院では「どうすればより安全でより美味しく食べられるのか」を突き詰め、介護食製品の研究・開発を行っている「株式会社クリニコ」の協力のもとに当院の患者様にとって適切と考える「ソフト食」の研究・調理を続けております。
クリニコの視察風景(ソフト食盛り付けの時)
ソフト食というのは今までの「刻み食」に代わる、より安全で美味しい食事の形態です。
その調理方法も、圧力鍋で食材を柔らかく調理する方法や、やわらか食と呼ばれるものを用いて調理する方法等幾つかございますが、当院では普通に調理したものを加工して柔らかく仕上げる方法を用いております。
加工例:豚肉のみそ焼き(左:普通食 右:ソフト食)
今までの刻み食では食品が口の中で散らばってしまう為に誤嚥のリスクがありましたが、当院のソフト食は凝集性を持っておりますので、食品が散らばりにくく誤嚥のリスクも少なくなっております。
また、形を作ることができますので見た目も楽しむことができます。
食品を柔らかく加工するためには加水が必要不可欠となりますが、それによって味が薄くなり、なおかつ量も増えてしまうというデメリットがありますので、当院ではできる限り加水を少なくし、安全と美味の両立を心がけ献立ごとに調整をしております。
最近では、米麹の酵素を用いてお粥のべたつきを無くす方法についても研究を重ね、年内には本格的に患者様に提供できるよう準備しております。
今後もより安全で美味しいお食事を患者様にお届けできるよう、日々邁進して参る所存です。
当院の食事について気になることがありましたら、遠慮なく管理栄養士までお声掛けください。
また、外来の患者様でも必要に応じ家庭でも実践できるソフト食の加工方法などの栄養食事指導が行えます。
興味の有る方は医師または管理栄養士までご相談ください。